感想・レビュー

アイ、セイ 感想・レビュー|人それぞれの性癖と予想できないストーリー

朝田ねむい先生の「アイ、セイ」の紹介と感想レビュー記事です。

全1巻で4つの作品が収録されている短編集!
どのお話も全く毛色が違うのに1冊の作品としてとても味わい深くて、良い意味で心がモヤモヤと整理しきれない感覚になりました。

今までにない色んな角度から「愛」と「性」を描いている朝田先生の凄さを感じられる漫画です。

最後の最後まで予想を裏切られるストーリー展開にはさすがとしか言いようがありません

注意

いじめや暴力などの表現がある漫画ですので苦手な方はご注意ください。

こんな方におすすめ

  • ストーリー重視で作品を読む人
  • ハッピーからシリアスまで色んな毛色の作品を読みたい人
  • 心がヒリヒリするような作品が好きな人

ぬっこの書房 独自評価

エロ・濃厚度 3.5
ストーリー展開 5.0
キュン要素 3.5
お笑い要素 3.0
ラブラブ度 2.0
心情描写 5.0
キャラクターの魅力 4.0
絵の上手さ 4.0
※4作品の総合的な評価となります。
ぬっこ

すぐにまた読みたい!とは思わない…けれど1度では味わいきれないので絶対に何度か読み返すことになる漫画です。

エロ・濃厚度については「性癖」としてかなり過激なものから全く性描写の無いものまであります。エロスのみが印象に残っている作品は無く、全体的にストーリーが印象的でした。

ネタバレ一切なしで読みたい方はここでストップ。
私は何も知らない状態で読んだ方が面白いと思います・・・!

ジャンル

「ディーン」

  • 社会人
  • 暴力

「クラスメイト」

  • 学校
  • いじめ、暴力

「ハレの日」

  • 家族
  • 片思い

「アイ、セイ」

  • 社会人
  • 年下攻め

1巻あらすじ

"恋愛"は苦手だから
セックスだけの関係が性に合うという
ゲイのサラリーマン・セイ。36歳。
最近はアプリで出会った

年下のイケメン・アイにドハマリ中。
最初はお互い体の関係だけでいいと
割り切っていたけど……。
4作品を収録した待望の短編集!

引用元:Amazonkindleストア

感想・レビュー

一つ一つ別のお話、でも一冊を通して読むと「アイ、セイ」という一つの作品になっている構成にしびれました。

全ての作品を通して不穏な空気というか、ハッピーエンド、バッドエンドどちらもあり得るようなストーリー展開に心をすり減らしながら読んでいるような感覚がありました。

本作を読んだ読者に「本作の短編、4作品の中で1位を決めてください」と言ったら結構ばらけるのではないかと思います。それだけどのお話も印象に残るものでした。

注意ポイント

ここから先はそれそれの作品について掘り下げるのですごくネタバレになります。ご注意ください。

ディーン

特殊性癖の青年と性癖を超えた愛情

主人公のコトが特殊な性癖を自覚したところから人生を半分諦めているような暗い空気感でストーリーが進んでいきますが、一方で底抜けに明るいコトの友人であり、思い人でもあるソノが登場します。

最初に読んだ時にストーリーの空気感とソノの明るさが合わないように感じていましたが、それはコトの内面が見せていた世界だからなんだと読み終えて気がつきました。

性癖を超えた愛を知ったコトが映画の中のディーンを見て小さい頃に見た印象とは違って見え、「最高にかっこいい」とソノと微笑み合うシーンでコトの内面が変われたことを表す演出は最高でした。

きっとこれからはソノと一緒に明るい未来を見ていくのだと希望が持てる最後でしたね。

ぬっこ

総合的にこのお話が一番好きかもしれないです。
特にEp.3の最後からEp.4にかけての展開には目頭が熱くなりました。

クラスメイト

いじめっ子暴走した性癖

色んな方のレビューを読んでいてもこのお話だけはちょっと苦手…と言う人が多かった作品。

可哀想な男にしか萌えないという朝田先生の希望で単行本に入ることになったそうですが私はよくぞ入れてくれた!という派でした。

ぬっこ

誤解が無いようにしたいのですがいじめや暴力などの描写で興奮できるのはフィクションだからです。実際にいじめがあった場合は先生にチクるタイプの生徒でしたし、今も昔もいじめは嫌いです。

とはいえ私はいじめや暴力がテーマになっている場合、少しでも希望が見える形で終わるのが理想なのですが…"性癖"って人それぞれだなと改めて感じました。

他の3作品だけではたぶんここまで心を動かされなかっただろうなと思います。「アイ、セイ」の良いスパイスになっていますし、これからも朝田先生の描きたいものを読みたいです!

ハレの日

性的指向と父から子への愛

BLというよりもゲイである父と子がメインのお話です。読み終えたころには父から子への愛を感じて目頭が熱くなっていました。

最後のページは実際には白黒なのですが色鮮やかに感じられるほどにお話の持っていき方や演出が上手い!まさに「ハレの日」というタイトルにぴったりの希望と愛に満ちた最後でした。

「いいものを見せてもらった」とそういう気持ちになれる作品でした。

アイ、セイ

真逆の性癖の二人のリアルな関係性

社内での会話やらアプリの彼との関係性など、何もかもがリアルすぎる!

でも…ものすごく大切な相手とはセックスはできなくない?

引用元:「アイ、セイ」p.200より

アイくんは最初ヤるのが好きなだけのクズ男と思っていましたがこの辺りの会話で自分と似たものを感じて凄く好きなキャラになりました。

性欲の強いセイと心から思う相手じゃないからこそ性欲が湧くというアイ、最後は真逆の二人が歩み寄る形で終わりましたが「終わりがある関係性」になるだろうということは本作を読んでいて伝わってきましたし単行本の描き下ろしでも終わりがかなり見えていましたね。

そのため正直私は「割と早い段階で終わりを迎える二人」と思っていましたが作者のあとがきを読んで驚きました。
このお話をハッピーエンドにする道を思い描けているなんて!どれだけ私の予想を裏切るんだ!

全体的に想像できない展開でしたがあとがきでもかましてきましたね…さすがとしかいいようがないです!

「アイ、セイ」を読んだ後はあとがきまで読むことをおすすめします!

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